TITF (Thai International Travel Fair) はタイの首都バンコクで毎年2回(7~8月と1~2月)に開催されるアジア最大級の国際旅行フェアです。一般消費者向けの旅行商品の即売会です。大手航空会社や大手旅行代理店から個人経営のホテルまで出展しており、昨今は日本の自治体や日本の企業が多数出展するため、日本の旅行商品を探すタイ人が多く集まります。
• 日 時: 2024年1月25日(木)~1月28日(日) 10:00 – 21:00
• 会 場:クイーン・シリキット・ナショナル・コンベンション・センター
• 来場者数:4日間で約275,000人
今回のTITFでは、渡航制限が解禁して訪日旅行が復活してきているが、航空券やホテルの値上がりを受けている中で、旅行会社がどのようやツアーを販売し、日本側の自治体や企業がどのような現地プロモーションをしてるかに注目が集まりました。
昨年は新型コロナウイルス感染症の影響後、初めて開催されましたが、今年も同様に2022年にリニューアルされたクイーンシリキットナショナルコンベンションセンターで行われました。リニューアル前は、2020年から規模を縮小してバンコクの商業施設ICONサイアムで開催されていたことを踏まえると、世界の観光受け入れが本格的に再開された後での開催としては、大型旅行イベントとしての位置づけが強調されていることがわかります。
参加者数や規模の変化については、前回と比較して日本ブースの出展コマ数は約倍程度に増加し、会場全体も約倍程度の規模感になりました。
しかし、コロナ前と比較すると、約50万人から約27万人と、来場者数に関してもまだ半分程度の規模感となっています。
日本の航空券やホテルの価格上昇を受けて、多くの旅行会社が「東京5日間!」のような定番パッケージツアーの販売に苦労している様子が見受けられました。格安パッケージツアーを提供していた会社は、顧客が価格を重視する傾向にあったためです。ツアー価格の上昇により、顧客がヨーロッパ旅行に流れたり、今年3月からタイ人に対する中国旅行の観光ビザが解禁されたことを受けて、中国ツアーを格安で提供する旅行会社が増えているようです。
訪日ツアーでは、リピーターの増加とともに、新しい観光地を求める顧客向けに、特に年配の方を対象としたプライベートツアーを積極的に販売している旅行会社は、売上が好調になっているようです。旅行ニーズが細分化される中で、以前は30人程度の団体ツアーの需要もありましたが、現在は5〜10人程度でカスタマイズ可能なプライベートツアーが人気を集めています。これにより、まだ知られていない新しい日本の地方デスティネーションを発掘し、高価格で販売したいと考えている旅行会社が大半であったと言えます。
ホテル業界や自治体の出展者は、SNSのフォロワー数を増やしたり、パンフレットを配布するなど、オーソドックスな出展方法でアピールすることが多いようです。観光地のPRやFacebookのフォロワー数アップなどのKPI達成が主な目的となっています。
たとえば、ある自治体は、プラス1000フォロワーを目標にしており、最終日の始めには750を超えていたそうです。多くの人が写真は認識していても、それが日本のどの地域にあるのか分からないという声が多く、行き方に関する質問もあったとのことです。また観光スポット自体の認知度は高いものの、それが日本のどこにあるのか、どうやって行くのかが分からないという人が多かったという感想も伺いました。
また今後タイ人の誘客を期待している地域はタイ語が難しく、タイ人は英語をあまり話せないことを実感したため、タイ語のホームページを作成しようと考えているそうです。このように現地でタイ人旅行者からの感想やフィードバックをもらうことも出展の目的の一つと言えそうです。
まだ知られていない新しい目的地を探すタイ人は多くいますが、多くの旅行会社が指摘しているのは、おすすめの観光地だけでなく、具体的な行き方、レストラン、ホテルの情報を網羅したタイ語のコンテンツが不足していること、またタイ語での問い合わせや予約ができないことなどです。
これらのニーズに応えるための情報発信と受け入れ体制の整備が、日本側の集客の大きな課題となっています。また、顧客ニーズの細分化などもあり、従来の団体ツアーの需要が減少傾向にあるため、旅行会社の顧客の細かいニーズを把握し、それに深く寄り添う姿勢が求められています。
写真を見たことはある、名前を聞いたことはあるけれども、それがどこにあってどうやって行くのかがわからないというタイ人が多いとのことです。そのため、場所と行き方を伝えることは今後の需要となるでしょう。そのために、TITFのような旅行博で実際の旅行者と交流できる機会は貴重だと考えます。
タイ人の中で、日本への憧れは一巡し、依然として優先順位は高いものの、海外旅行先の一つとなりつつあるのも事実です。
自治体のブースでのアクティビティの販売から、今後アクティビティを前面に出す(体験を売りにする)動きが増えていく印象を受けました。これまでの観光地、グルメ、温泉に加え、アクティビティを推進する自治体が増えていくことにより、新たなチャンスが生まれると感じています。
今回のランキングに関する詳細や、タイのインバウンド動向に関してさらに知りたいことがありましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。また、特定のインフルエンサーや日本の目的地に関するご質問も大歓迎です。
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