AIS(アジアインタラクションサポート)の鈴木です。
私が担当している愛知県の岡崎市様・蒲郡市様のご協力のもと、
タイ人向けオンラインツアーを実施しました。
今回は、2市の自治体様から「コロナ禍における全国の観光地のお役に立てれば」
という大変ありがたいお言葉を頂き、成功事例を公開できることになりました。
実施までのプロセス~結果までをまとめたのでご参考になれば嬉しいです。
ちなみに、今回のオンラインツアーの概要は次の通りです。
日程:1日に2時間限定で開催(1時間×2部の構成)
アプリ:ZOOM
派遣スタッフ:タイ人MC2名、カメラマン2名、遠隔スタッフ1名
紹介スポット:岡崎城、竹島、紅葉等の自然スポットやイルミネーション、体験、グルメ等
目次
タイ人向けオンラインツアーの実施結果
オンラインツアーをやった理由
募集の時に気を付けたこと
やってよかったこと
改善点
≪タイ人向けオンラインツアーの実施結果≫
■タイ人121名の参加申し込みとメルアドの獲得
■当日参加者は60名で、同時中継したFacebookライブ配信は2,918回再生
■参加者満足度は4.32(5点満点)
■参加者の60%が次回訪日旅行で「当エリアに行きたい」と回答
■参加者からファムトリップ並みにリアルな多くの意見を聞けた
この結果を見て皆様はどのように思われるでしょうか?
当エリアにとっての初開催で、総閲覧者数と参加者満足度は目標を達成したので、
成功した事例と位置付けていますが、
「申込み後の離脱を減らし、当日の参加者をもっと増やしたかった」
「当エリアの来訪意欲を80%以上にしたかった」という課題も残りました。
実は、参加してくれたタイ人のアンケート回答から、これらの問題も改善できることが分
かっているので、それについては最後のほうに書いています。
参考➀:当オンラインツアーに応募したタイ人のプロフィール(121名)
参考②:当オンラインツアーに参加した理由(121名)
≪オンラインツアーをやった理由≫
■訪日解禁後の訪問先に選ばれるため
■何がタイ人に喜ばれるかを探るため
■アフターコロナでも使えるかをいち早く実践して見極めるため
つい先日、タイの現地旅行会社30社近くと情報交換をしましたが、
このコロナ禍における観光地の感染対策や人混み具合はかなり皆さん気にされてました。
訪日解禁後に選ばれるには、観光地の魅力に加えて信頼度も必要なようです。
そこで、生中継でリアルな映像を届けられる外国人向けオンラインツアーに着目しました。
観光地としての信頼度をあげやすいだけでなく、何がタイ人に喜ばれるかも探れるので、
情報発信と調査で得られるものを同時に獲得できるという仮説のもと実施に至りました。
オンラインツアー中に味噌煮込みうどんを紹介するタイ人MC
≪募集の時に気を付けたこと≫
■たくさん集客をしておく
■信頼できるツアーだと思ってもらう
■クリエイティブに気を付ける
1つ目ですが、過去のタイ人向けモニターツアーやキャンペーンの経験から、
無料系のものはドタキャン率が高くなる傾向にあるので、定員に対して120%の申込み数
を目標にしました。
2つ目ですが、いくら日本のサービスとはいえ、外国人からしたら海外のサービスなので、
個人情報を悪用されないか等の不信感を抱くユーザーもいます。そこで、ユーザー
からの信頼感があり、認知度も高い訪日メディア「Chill Chill Japan 」で募集しました。
3つ目のクリエイティブですが、認知度が低いエリアのオンラインツアーに参加したいと思
うユーザーがタイでは少ないです。そこで、ユーザーが知らない地域でも、「次回の日本旅
行のときに、こんな場所なら立ち寄るかもしれないな。なら参加しておこうかな」と思って
もらえるクリエイティブを意識しました。
参考③募集時に使用したメディアChill Chill Japan での募集広告の一部
≪やって良かったこと≫
■約3,000人の人に観光地を知ってもらい、6割の方に行きたいと思ってもらえた
■企画・リハーサルの段階からタイ人からのリアルな意見が聞けた
■観光地としてのプレゼン力があがった
1つ目は書いてある通りですが、2つ目はやってみて分かった大きな発見でした。
今回、このオンラインツアーのためにかなり念入りな準備をタイ人スタッフと重ねました。
当日紹介すべきスポットをタイ人に事前にヒアリングすることにはじまり、
どのようにタイ人にプレゼンすべきかなどを精査し、さらにタイ人MCともリハーサルを行
いまた改善を重ねて・・というように、タイ人目線の構成をタイ人達とつくりました。
大きな発見というのは、このプロセスの段階で既にタイ人からいくつもの意見がでた
ということです。この観光地よりこっちを紹介しようとか、この言い回しだとタイ人には
伝わらないとか、こんな質問がタイ人からきたら何て答えるか?などです。
この企画・リハーサルのプロセスに加えて、本番を通じてさらにタイ人参加者から
も意見がもらます。そのため、今後も他のタイ人向けプロモーションで使えるような、
自治体様のタイ人向けプレゼン力も間違いなくあがったと感じていまます。
参考③実際にオンラインツアーの前とツアー中にタイ人から出た質問(一部抜粋)
タイ人に対してこの観光地を紹介しよう!というのが仮にできていたとしても、
それをどう伝えるか?まで徹底できているところは残念ながら少ないので、
外国人向けオンラインツアーを通じて「観光地の伝え方」を研究していくと、
今後の情報発信や商談も成功確率があがるのでなかなか価値が高いと実感しました。
≪改善点≫
参考④参加したタイ人からの改善点の意見(一部抜粋)
さて、冒頭に私は「申込み後の離脱を減らし、当日の参加者をもっと増やしたかった」
「当エリアの来訪意欲を80%以上にしたかった」と書きました。
先ず前者について、今回はZOOMを使ってオンラインツアーを実施しました。
ZOOMのログイン方法などは伝えていたものの、一部の慣れないユーザーがログインに
手間取ってしまい、離脱に繋がったのではないかと推察しています。
今後はログイン不要で使えそうなアプリがあれば試してみたり、
一度参加できたユーザーにリピート参加を促すことで解消ができたらと考えています。
また、ドタキャンも一定数あったと思うので、「心待ちしてるのでキャンセルしないでね」
的なリマインドをもう少し増やしてもいいかもしれません。
2つ目の来訪意欲を高める方法について、参加者にアンケートをとって納得できた
のですが、一番多かったのが「音声と映像の乱れ」でした。
この音声と映像の改善を行うには、いいカメラといいマイクを使うだけでなく、
➀通信環境強化
②通信環境に合ったプログラム
③Zoomオーディオ・ビデオ設定の最適化
④ビデオ映像のデータ量を下げながら最適化する
⑤リハーサルでさらに➀~④を調整
これらによって、来訪意欲は一気に高められると思いました。
ただ、今回は機材コストをあまりかけられなかったので、今回のようにスマホ、
スマホ用のプチ照明等で実施する方法もあります。
ただ、その場合は「屋外だけど静かな場所」を紹介することを推奨します。
場所にもよるので何ともですが、蒲郡市の竹島というオーシャンビューを中継した際に、
風が強すぎて音声が聞き取りづらい状況になったり、
逆に室内レストランに入った際はネットが乱れて映像も乱れるということが起きました。
蒲郡市の竹島は魅力は感じてもらえたものの、音声と映像に課題を残した
リハーサルではうまくいっていても、大人数のログインやタイ側の参加者のネット環境に
よっても左右する時があるので、「屋外だけど静かな場所」は海外とのオンラインツアーで
はむいている要素のひとつだと感じました。
以上、今回のオンラインツアーのレポートでしたが、オンラインツアー自体はタイ語MCと
スマホと集客方法さえあれば、実施自体は誰でもできますのでぜひお試し頂きたいです。
ただ、前述したように徹底したタイ人目線での募集、タイ人MCの育成、
構成・企画、当日のプレゼンがないと効果が出ないということも実際にやってみて分かったので、
もし企画・構成や集客も含めて外部に任せたいという場合はご協力ができますので、
その際はぜひお気軽に弊社、もしくは私までご相談下さい。
AIS鈴木 suzuki@asia-is.com
バンコクデスクがあるので、その他のタイ向けインバウンド対策もご対応できます。
岡崎市様と蒲郡市様には、実績公開のご判断を頂き心より感謝しております。
コロナ禍で大変な時期がまだまだ続いておりますが、何とか皆様とご一緒に
弊社も存続できるように頑張りたいと思っています。
リアルな訪日旅行の復活と、観光業界全体の復活を祈っています!
AIS鈴木